moaiの音楽部屋

好きなアーティストのアルバムレビューやライブの感想など

Mr.Children『DISCOVERY』レビュー

Mr.Children 『DISCOVERY』

f:id:moaiblog:20211014124025j:plain

 

データ

1999年2月3日発売

累計売上1,814,180枚

登場20週

 

作品概要

活動休止期間を経て前作『BOLERO』から約1年11ヶ月ぶりのアルバム。ジャケットには久々にメンバー全員の顔が写っている。

14thシングル「ニシエヒガシエ」のカップリング曲のリミックスバージョン2曲、16thシングル「光の射す方へ」のカップリング曲「独り言」は未収録となった。

制作当初は何の決め事も無く、肩の力を抜いて作られた。レコーディングは彼らのプライベート・スタジオで行われ、デビュー当時のように合宿しながらその日の気分または天候によって演奏する曲が決められた[1]。メンバーも楽しんでレコーディングができたと語っている。6分以上の曲が3曲収録されており、Mr.Childrenのアルバムでは初めて収録時間が1時間を超えた。

オリコンチャートで4作連続初登場1位を獲得。初週で111万枚を売り上げ累計売上は180万枚を突破し、アルバムでは通算5作目のミリオンセラーを達成。

小林武史は発売当時「これまでで最高のアルバムができた」と評したが、桜井和寿は『IT'S A WONDERFUL WORLD』のプロモーション時に「もし『DISCOVERY』の頃の自分がこんな曲を書けていたら、あの頃にあんな迷走はしなかっただろう」と本作についてやや否定的な発言をしている。

 

収録曲

①DISCOVERY

光の射す方へ

③Prism

④アンダーシャツ

ニシエヒガシエ

⑥Simple

I'll be

⑧#2601

⑨ラララ

終わりなき旅

⑪Image

※②16thシングル、⑤14thシングル、⑦後に17thシングルとしてカット、⑩15thシングル

 

総評

約1年間の活動休止を挟んだ後に発表された、復帰作となるアルバム。

荒廃した大地をバックにしたモノクロジャケットそのイメージ通り、繰り返される重々しいイントロが耳に残る①でアルバムは幕を開ける。以降、これまでの彼らのシングルには無かったような生楽器と打ち込みが絡み合う複雑な曲構成で作られた実験作とも言える②や⑤、ドラム・鈴木が作曲に参加したハード・ロック⑧などサウンド面での進化を見せるものの、歌詞の内容としてはまだ『深海』『BOLERO』期を引き摺っているような印象を受ける。

上記のように、暗闇の中を必死に彷徨い続けるような楽曲が続くアルバムであるが、後半の3曲で大きな転換を迎える。ありふれた日常に散りばめられたかけがえなさをフォーキーに歌い上げる⑨、本作のクライマックスであると同時にもう一度果てしない未来へ歩んでいく宣言を歌ったロック・バラード⑩、そしてストリングスのサウンドをバックに「楽しく生きてゆくImageを膨らまして暮らそうよ」と締め括る⑪と、長く続いてきた自分探しの旅時(=DISCOVERY)にようやく出口を見つけたような着地に救われる。

正直初聴時は「『終わりなき旅』ありきのアルバム」という感想を抱いてしまったが、後に王道のポップスへ回帰することになるバンド史の中で最も攻めたハードロックなサウンドが聴ける点も含め、彼らのキャリアの中で重要な意味を持つ1枚。

 

評価

★★★★★★★★☆☆(8点/10点中)